2017年5月31日水曜日

海底ケーブルの話 1

昔のブログにも書いていたような気がするネタです。
一般には知られていない(必要も無い)、レア?なお話。
なお、最新情報はありません。あくまでも昔の話。


その昔、神奈川県に海底ケーブルの工場がありました。
2つの工場があり、それぞれ海に面した場所で生産やメンテナンスなども行っておりました。もちろん過去形ですけど、今は九州に移転したという形になっています。


海底ケーブルというと、一般に馴染みは無いでしょう。
これを見たことがある人は関係者くらいです。ソモソモ、人目に付く場所には使われませんから。名前の通り、海の底にひっそりと敷設されるケーブルなのですから。

海の底に線を通してどうするのか、ある程度は推測できるでしょうか。
ケーブルと言われて思いつくのは電気でしょう。電気を流すために使う電線。一番分かりやすい代物ですが、それらは海底ケーブルとは呼びません。
通常は電力ケーブルであり、海や湖沼に沈める特殊ケーブルとなります。
(電気屋さん的に、海底ケーブルと呼ぶ可能性はあります)

では、電気じゃないとすれば、情報伝達になりましょう。通信ケーブルという訳ですね。


海の底にケーブルを張って、データ通信の信号を流します。
一体、何処と何処を繋ぐのか。

たとえば国内だったら、本州と北海道とか、そんな形が思い浮かびます。
また、海外向けもあるので、日本からアメリカとか、アジア方面もあります。
いずれにしても、ちょっと水に入るレベルではありません。仮に日本海溝を跨ぐのなら、8000m 位沈める必要があるのです。

遠距離にデータを送るために、海にケーブルを引くのは大変です。
そんな事するなら、衛星回線があります。
しかし、昔はそんな手段はありませんでしたし、出来たとしてもコストが高かった。また、今では手軽になったとは言え安くもないし、ソモソモ伝送量が限られます。
品質的にも安定しないので好ましくないとも言われます。


2020年に東京でオリンピックが予定されています。
これで2回目ですね。じゃあ、1回目はといえば1964年頃(うろ覚え)にありました。今から50年くらいの昔です。
丁度その時、日本からアメリカにオリンピックの放送を流す必要があり、その時に使われたのはアメリカ行きの海底ケーブルでした。
日本とアメリカを繋ぐため、全長は10000km ?と長く、生産や敷設には時間もコストも掛かっています。

そのケーブルは今と違って同軸ケーブルでした。
TVとアンテナを繋ぐケーブルと言えば分かりやすいでしょうか。丸い構造で、中心に銅線があり、その周囲を絶縁されていて、更に外周部に銅線(網線など)が配置されたものです。

海底用はTVとは品質レベルが違いますし、太さも異なります。
直径は1inch(25.4mm)程、断面図はTV用と同じような感じですね。
電気特性を良好とするため、真円度は非常に高くなっています。断面の円形が崩れると、電気的に劣化して信号が乱れます。特に長距離を飛ばす場合は、大きな影響が出ることから、高い品質が求められました。


ここでちょっと、ネット検索してみました。
wiki を見ると海底ケーブルの項目もありますね。しかし、肝心な?日本の事はあまり書かれておりません。
一応、KDD とかNEC の名前はありますけど、、、。国内で実際にケーブルを生産していたのは、日本大洋海底電線(その後社名変更してOCC、さらにKDDI に吸収)です。それ以外にも若干、日立がATT のOEM 生産をしていましたが、あくまでも外向けです。

海底ケーブルは大きな仕事なので、とても1社完結は出来ません。たとえばNEC が幹事になって取りまとめつつ、色々巻き込んで進めたりします。
無論、NEC だけではなく、富士通だったり、海外資本が入ったりもします。また、ケーブルの生産や敷設工事、海だけではなく陸上側の設備など色々と絡みがあるのです。






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