2017年10月14日土曜日

海底ケーブルの話 2

2回目になりました。
前回書かなかったことを拾いながら、徒然に。



海底ケーブルの長さ

一般的なケーブルと言えば、屋内や屋外用に使われる物を想像することが出来ます。
それらは、ハンドリングしやすいように切り分けられた物。
工事で使うとしても、車に積めないと駄目ですしね。

海底ケーブルでも、同様に手ごろな長さという概念はあるでしょう。しかし、出来るだけ継ぎ目は作りたくないのです。
継ぎ目があるとすれば、そこが弱くなったり、更にコストアップにも繋がります。

海底ケーブルの1本の長さは長いもので70km 以上あります。もちろん、短いものは切ればよいだけですから、何とでもなりますね。

問題はケーブルの保管や移動。長いケーブルを保管するには、巨大な入れ物が必要になります。陸上に保管する場合の大きな入れ物はもちろん、船に積むにしても船内に巨大なタンクが必要な訳です。



海底ケーブルの継ぎ目

出来るだけ長いケーブルを作るわけですが、さすがに限度があります。
たとえば生産装置はシームレスだったとしても、保管や移動などの制約はありますから、どの道上限は出てくる。

そうすると、継ぎ目が沢山必要になることは分かります。
継ぎ目は通常、金属のボディでガッチリした構造を持っています。これが陸上のケーブルだったら、そんな物は必要ないでしょう。しかし、海底ケーブルの場合はケーブル自体で強い応力を捌かなければなりません。だから、高い強度で繋ぐのです。

たとえばケーブルの引っ張り強度が10t だったとしたら、接続部の強度はそれ以上必要になります。実際、そんなスペックで作られるので、ゴツイ物なのです。

継ぎ目の構造物は、ジョイントボックスと呼ばれます。
これには、強度的な接続の他に、電気的な接続や光学的な接続の機能も持っています。
光学的な部分は、光ファイバーの接続です。ケーブル内部で情報伝達を担うファイバーを繋ぐことや、それを安全に格納するのも重要な役割となっています。

某、ジョイントボックスの中には、私の設計したアレが入っています。
特に凄い物ではありませんけど、話のネタにはなりますね。

それから、ケーブル自体は樹脂で覆われていて水密構造になっています。だから、ジョイントボックスも水密の機能を持っています。さらに、ケーブルと一体化しないとなりませんから厄介なのです。




海底ケーブルの敷設工事

海に沈めるケーブルですから、船で運ぶ事になります。
船に大量のケーブルを積んで、そこから海にケーブルを垂らしながらゆっくりと進みます。どこかでケーブルは無くなるので、終わったら海に投げ捨てて船は港へ帰ります。

次の作業では、ケーブルを積んだ船が先程投げ捨てられたケーブルの地点まで進み、そこでケーブルを探し出すことになります。
今だとGPS もあるので、昔に比べれば楽にはなっているのでしょう。もっとも、どの道正確には分からないため、後は手探りの作業。(人間の手ではありませんよ)

落ちていたケーブルを拾ったら、今度は積んできたケーブルと接続を行います。そして、それが終わったらやっと敷設作業が再開となります。

接続作業には時間が掛かります。
また、その間、船は停止している必要がありますが、波や風が大人しいとは限りません。たとえば嵐などが接近したら、船があぶない事になります。

海底からのケーブルが船に繋がっていると、船自体は上手く波に乗れません。ケーブルを軸に振り回されることになり、非常に危険な事も起こり得ます。要するに沈没。

船が沈んだら大損害ですし、ソモソモ乗組員の命も危ないです。
やばいとなれば、ケーブルを切断してでも逃げないとなりません。それが海の男の判断なのです。実行すると後が大変ですけど、その場の判断は重要と思います。






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